ピアサポートの定義
ピアサポートの定義は様々です。ピア(peer)とは、仲間、同輩、同等の地位の人を意味します。
サポート(support)とは、支援する、援助する、支持するという意味合いです。
この2つの言葉が組み合わさった「ピアサポート」は、対等な仲間同士が一方的に支えるのではなく、「支え合う」という意味になります。
ピアサポートの価値および意義
ピアサポートは、同様の経験をした者同士による支え合いです。同様の経験を「語り合う」ことが、対等な関係性を作り出します。
なかなか「語れない経験」「語ってはいけないと思っていた経験」のある人が、お互いに語り合うことによって、強固な関係性が現れます。
精神疾患や障害があること、精神科に通院していること、そうした家族や身内がいることを隠して生きている人が世の中にたくさんいます。
精神疾患は一生涯を通して4人に1人はかかる病とされており、いかに多くの人がありのままを語れない不自由さの中で生活しているかがうかがえます。
ピアサポートが生み出す「経験の語り合い」は、語りてと聞き手が「わかちあう」時が生まれ、「私は一人ではなかった」という孤立からの解放の気づきがもたらされることもあります。そして、自分の経験を語りたいという意欲が生まれ、語り始めるのです。
これまで、語っても理解されないで、周りに人がいなくなってしまった経験のある人にとって、自分の経験が共感され、理解されるということは大変嬉しいことです。
「自分は自分のままでいい」「病気があっても自分らしく生きよう」という自尊心が生まれ、自信もつき、リカバリーの一歩を踏み出すきっかけにもなります。
語り合うことができない、同様の経験のある人同士が出会う場を作ることで、安心して経験を語り合うことができるようになります。
「経験を語る」ことで、マイナスだと思われていた経験が、プラスの経験へと価値の転換が起こるのです。
そして自分自身をありのままに受け入れ、折り合いをつけながら、自尊心が芽生えてくるのです。
経験の語り合いによってリカバリーが循環していく。ピアサポートは、リカバリーを生み、その循環を生む大きな要素であると言えます。
ピアサポートの活動領域
ピアサポート活動の実践は、教育現場、若者支援、医療、保健、福祉、地域生活支援など、あらゆる領域に広がっています。(不登校、引きこもり、貧困等)それらは、先行した理念や実践を継承しているものではなく、おのおのの領域のニーズに応じて生まれてきており、おのおのの領域ごとの実践として行われています。
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