世界の精神保健福祉サービスの領域では、ピアによるサポート活動、当事者スタッフや当事者サービス提供者など、精神障害当事者の関与をサービス提供の中核に位置づけることが必要であり、有効であることが活発に議論されて久しいです。
ピアサポートは、当事者のリカバリーに働きかける重要なアプローチです。
当事者が望む、リカバリーへの希望を実現し、リカバリーへと進むためには、ピアサポートによる実践は有効的です。
日本でも、当事者の方がピアスタッフとして働くことへの関心は高まっています。2014年には、日本ピアスタッフ協会が設立されました。
ピアサポート専門員の育成もなされ、千葉県などでは、ピアサポート専門員養成研修に取り組んだりもしています。
ピアスタッフは、精神保健医療福祉を変える可能性も秘めています。
一方、「ピアスタッフとして働きたいけど、不安だし、何から始めていいか分からない」「ピアスタッフの雇用をどうしたらいいか分からない」「ピアスタッフとして雇用されたが、どうしていいかわからない」という声も上がっています。
書籍『ピアスタッフとして働くヒント』は、ピアスタッフを知るうえで大切な考え方、歴史的背景、制度などに加え、ピアスタッフや協働している人々の思いや葛藤などの声も収録されており、ピアスタッフについてのすべてを網羅する一冊となっています。
この書籍でのピアスタッフの定義は、「精神障がいや疾患を通して得た自身の経験を生かして、事業所等と雇用契約(常勤、非常勤を問わず)を締結し、利用者のリカバリーに資する職員」とされています。
「ピアサポーター」と呼ばれることもありますが、こちらの書籍では、職業としてではなくボランティアとしてピアサポート活動をする人と区別するために、「ピアスタッフ」という表記にしているようです。
こちらの書籍の構成は全7章で構成されています。
1章:「ピアサポート」「当事者性」「専門性」について
2章:ピアスタッフの現状について
3章:ピアスタッフの仕事と役割について
4章:ピアスタッフの雇用の現状について
5章:ピアスタッフの可能性について
6章:ピアスタッフが働いていくうえでの課題と対応について
7章:ピアスタッフの今後の展望について
全7章を、私のピア(当事者)目線で、重要だと思われる箇所、有益となりそうな箇所、勇気と希望をもてるような、リカバリーにつながる箇所を引用、ピックアップして紹介していきたいと思います。
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