実際のピアスタッフの声
同僚や利用者に病気のことを開示して働く
A氏はピアスタッフとしての雇用ではなく、常勤の精神保健福祉士として勤務しましたが、当初より自分の病気のことを同僚や利用者にも開示していました。
私自身の思いも、専門家として支援するのではなく、同じ経験を持ったピアスタッフとして利用者に接したいという気持ちが強かったのです。
自己研鑽し、自ら仕事を作らなければならない
17年前、A氏がピアスタッフになりたての頃は、とても珍しがられ、全国的にもその存在が注目されました。
今では、地域活動支援センター、就労系事業所、グループホーム、精神科病院等でもピアスタッフは雇われています。
しかし、ピアスタッフの仕事内容、勤務状況は一般支援職員に比べて確立されていない分、決してよい状況とは言えないものです。
働いている現実はあるものの、雇用契約が結ばれておらず、最低賃金も払われていないなど、不当な扱いを受けているピアスタッフもいるといいます。
また、ピアスタッフに明確な役割、仕事が与えられず、マスコット的に雇っている事業所もあるといいます。
雇用する側の問題だけでなく、積極的に仕事に取り組まず、楽をしているピアスタッフもいるといいます。
ピアスタッフとは言え、日々自己研鑽し、自ら仕事を作っていかなければ、その存在意味が疑われてしまいます。
ピアスタッフも支援者である以上、同僚の専門職員と共に利用者に寄り添い、その生活を支えていく必要があります。
ピアスタッフに必要なのは、一般支援職員と同じように利用者に寄り添い、その生きづらさを共感する感性です。
もちろん、知識や技法も必要ですが、なによりピアスタッフ本人の人間性が問われます。肩書だけで当事者支援をすることは難しいでしょう。
ピアスタッフはリカバリーモデル
A氏は、病気を発症して25年。25年前は、病院と保健所以外には相談できるところが無く、家族は混乱し、先の見えない絶望の中にいたと言います。
25年がたち、相談できる場所も増え、ピアスタッフのように回復している当事者の体験談も聞くことができます。
ピアスタッフはリカバリーモデルであり、希望を与える存在でもあります。ピアスタッフが活躍することで、病気の渦中にある当事者やその家族にとっての目標と希望を与えられると信じています。
ピアスタッフは、希望を持ちながら支援することができます。
自分自身の道を歩んでいるという実感を持つことができます。
全国で迷いながら奮闘しているピアスタッフの方々には、「希望は必ず現実になる」というエールを送り、それぞれが自らの道を歩んでいけることを願っています。
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